堕天使、恋に落ちる
「わかった」
一徹の胸の辺りを軽く持って背伸びをする。
「ん………」
「………」
「ンンン…………」
口唇を離そうとすると、頭を押さえつけられた。
そのまま翻弄され、数十秒後やっと解放された。
足にあまり力が入らなくて、一徹の胸にしがみついた。

「ごめん…夢中になった……」
「こんなとこでやめて!ただでさえ私浮いてるのに……恥ずかしいでしょ?」
「それは大丈夫だよ!もう心配いらないから」
「??」
「ほんとに遅れるね…行ってらっしゃい!」
「うん、行ってきます」

少し疑問を抱えながら、職場に行った。



社長室に挨拶に入ると、社長と龍一がいた。

「社長、おはようございます。龍…専務もおはようございます。今日はお二人でどうされましたか?」
「あぁ、もう君を解放してあげようと思ってね」
「え?おっしゃってる意味が……」

「だから!!辞めたきゃ辞めろって言ってんの!」
「は?」
依願退職しろってこと?
「でも、私秘書の仕事が―――!」
「今日中に退職届けを出してくれ!」

嘘………どうして?
ここまで頑張って来たのに………。
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