堕天使、恋に落ちる
恐ろしさと甘さ
「嬉しいな、今日から由那と仕事ができるなんて!」
「そうね!」
今クラブへの移動中の車内。
やっぱり私の横に、ぴったりくっついて一徹が座っている。私は一徹の肩に頭を預けている。
「とりあえず、今日は紹介だけね!あっ言っておくけど、勝手に挨拶しないでね」
「え?う、うん…
じゃあ私は紹介されたら、その後一人?」
少し頭を傾げて、一徹を見た。
「は?そんなことすると思う?紹介の後は俺の傍にいるだけでいいの!」
その私の頭を撫でてくれた。

「フフ…なんか不思議……」
「ん?」
「一徹に初めて会った場所でしょ?」
「うん」
「そこで働くなんて、考えてなかったから…」
「うん、そうだね…不思議だ……」
頭を撫でていた手を頬に移す。
そのまま頬を数回撫でて、
「由那。これから何があっても放さないからね。どんなに怖くて、苦しくても……
いいね?」
一徹の綺麗な瞳。でも今は怖いくらい、真っ黒だ。
怖い………
でも、放れたくない――――

「うん、覚悟はできてるよ!」
そして口唇を撫で、キスをした。
「んふぅ……ん…」
「愛してるよ。苦しい位に」

予感がする。
これからきっと、甘くて、深くて、苦しい。
そして恐ろしい程の重い愛に私は侵されていくのだろう。
それでも私はきっと、放れられない。
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