堕天使、恋に落ちる
「でも仕事してたら会うんだから、その都度挨拶すれば…」
「由那はまだわかってないね…」
「え?」
「ほんとはね、もう誰にも会わせたくないんだよ。それを百歩譲って紹介してあげてるの。
だいたい命にだって紹介するの、嫉妬で吐き気してんのに。また吐き気と戦わなきゃいけない」
「フフ…挨拶だけで?」
「ううん、由那を俺以外が見るだけで。いっそのことみんなの目、潰しちゃおうか…?」
「ちょっ…一徹!」
「冗談だよ!」
「もう(笑)!」


「一徹さん、ヤマトさんもうここに着くみたいです」
「そう。わかった!じゃあヤマトが着いたら、紹介ね!」

五分後……
「遅くなって、すみません!一徹さん」
「ううん。由那とラブラブしてたから、大丈夫」

「みんなに紹介しておく!
彼女は俺の最愛の恋人、由那。
明日から俺の傍で仕事するから。よろしくね!」
「よろしくお願いしますっ!!!」
「あっ、初めまして。よろしくお願いします!こんな格好ですみません!
………やっぱ、離して一徹。ちゃんと挨拶したい!」
「だから―――」
「お願い…今日だけなんでしょ?挨拶できるの。だったらちゃんとしたい!ワガママ聞いてくれるんでしょ?」

私は必死でお願いした。
「………はぁー由那にそこまで言われたら、受け入れるしかないね…わかったよ。はい!」
やっと解放され、私はテーブル前まで進み出た。

「改めまして、天川 由那です。明日からよろしくお願いします」
と頭を下げた。
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