堕天使、恋に落ちる
*****一徹 side*****
めっちゃ金持ちの女が、俺を指名してきている。
と言う従業員の言葉に少し興味をもち、テーブルに向かった。
どうせどこかの会社社長とか、おば様とかかと思っていた。

でもそこにいたのは、美しき“天使”だった。



俺はこのホストを天職だと思っている。
そのくらい、特に努力しなくてもナンバーワンまで昇り詰めることができたから。
だからかな……?
だから今まで生きてきて、何の情熱も持ったことがない。
なんとなく、やりたいように生きてきた。
この仕事上、お金には苦労しない。
女もヤりたい時に、誘えばホイホイついてくる。

一目惚れを初めてした。
この心が一気に吸い込まれたような、胸の痛み。
心を捕まれたような、ドクドクとうるさい心臓。
周りの音、動き、全てが止まったような、ここには俺達二人しかいない空間。

あぁ、これが惚れるとゆうことか。
これが愛しいとゆうことか。



欲しい。彼女が。
今すぐに――――――――

でも彼女には、色がない。
こんなに綺麗なのに、真っ黒なのだ。
感情をどこかに置いてきたように、無表情なのだ。

でも、大丈夫。俺が色を取り戻させてみせる。


*****一徹 side・終*****


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