堕天使、恋に落ちる
やめて―――!
龍一と同じこと言わないで………
また辛い想い出が、フラッシュバックする。

「一徹を引き立てるにはいいけど、それだけよ!最終的に男は安心を求めるわ。貴女には無理ね…!」
ガン―――!
私は目の前のドアを殴る。
手がジンジンする。
ガン!ガン!ガン!ガン!
自分でもびっくりする程の力で、ドアを殴っていた。

そんなこと、私が一番よくわかっている。
龍一にも、よく言われた。

「お前に安心・安定を求めてない!お前は刺激だ、と。
だからお前は天使だけど、女神にはなれない」

好きな人に自分だけを見てほしくて、必死に尽くした。でもそれが相手に重みとなって苦しめるだけだった。
だけど一徹は違う。
私にその重みを与えてくれる。私はそれが心地いいのだ。
そして私にその重みを、もっとくれとまで言う。

そんなこと初めてだった。

一徹が監禁して、一生俺だけに愛されろと言うなら喜んで監禁される。
そんなこと私には何の苦痛でもないのだから。

「とにかく!!
早く!!
戻って下さい!!!」

「フフ…一徹って、癖あるの知ってる?」
「は?」
「貴女だって毎日抱かれてるんでしょ?」
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