堕天使、恋に落ちる
そして今、ショッピングに来ている。
「ねぇ、これと、これ、後あっちのワンピどれがいいと思う?」
由那が楽しそうに服を選んでる。
その姿があまりにも可愛くて、幸せそうだ。
よかった。
昨日の辛い出来事を、少しでも忘れさせることが出来ているようだ。

「うーん。これかな?由那に似合いそう!」
「そう。じゃあこれにする!」
「了解!じゃあ貸して?買ってくる」
「へ?ダメだよ!」
「なんで?」
「自分で買うの!!」
「は?ダメ!由那には出させないって言ってるでしょ?」
「でも……」
「貸して?由那?」
「わかったよ…ありがと」
素直に渡してくれた。
会計中。
「あのそれすぐ着て行きたいので、試着室借りていいですか?」
と言って由那が着替えて出てきた。

「どう?一徹」
「うん。可愛い!でも、心配だな…」
「え?」
「この格好、俺以外が見るんだよな…?」
「そうだね…」
「やっぱ―――」
「着替えないよ!」
「だよな…」

少し不安を抱えながら、店を後にした。
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