堕天使、恋に落ちる
「あ、由那!
………由那?」

無意識だった。
無意識に涙が伝っていた。

「一徹から……離れてください…」
震える手で、その女性の手を引き剥がそうとした。
「ちょっと何よっ!触らない、で!」
「きゃっ!」
ドン―――!!
私は女性に振り払われて、軽く飛ばされてしまいその場に倒れた。

「―――!
由那!!!」
一徹が私に駆け寄る。
「由那?大丈夫?怪我は?」
「え…ううん。してないよ…」
「ダメ!よく見せて?」
一徹は私の手や、足などを確認する。
「ほんと、大丈夫だから……」

一徹は私の顔を覗き込み、私の涙を親指で拭って、
「怪我してなくても、心を傷つけた。ごめんな……」
「一徹…」

「ねぇ、一徹?
こっち――――――」
ダン――――!!

え―――?
一瞬だった。
一瞬で一徹はその女性の胸元を掴み、壁に押し付けた。
女性はあまりの一瞬の出来事と、恐ろしさで声が出ない。
「お前……覚悟できてんだろうな……」
「え…」
「地獄へ行く覚悟だよ……!」
「え…?一徹…」
「そんなにお望みなら地獄、連れてってやる」
「いや、ごめんなさい!その子にも謝るから!お願い!」
「もう遅い……」
「え?」

その後、一徹がその女性に耳打ちをしその場は収まった。
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