堕天使、恋に落ちる
「一徹。お手洗い行ってくるね」
「じゃあ連れてく」
「大丈夫だよ?命さんの相手してて?」
「でも、由那、酒飲みすぎたろ?顔赤いぞ!」
「大、丈夫…!」

…ってちょっとふらつくなぁ……。
日本酒なんて久しぶりだもんな……。

トイレの洗面台の鏡を見る。
「確かに赤い……ちょっと飲みすぎたかな?」

トイレを済ませ、戻っていると。
ガチャーン―――!
「きゃぁぁぁ!」
「ん?何?」
声のする方を見ると、若い男性従業員さんがトレイを落とし、廊下に料理を撒き散らしていた。
他の従業員さんとぶつかったようだ。
「すみません!」
「ちょっと!だからちゃんと前を見なさいって言ったでしょ?新人だからって許されないわよ?」
「はい!すみませんでした!」
「…たく、早く片付けなさい!」
「はい!」
相手の従業員さんはスタスタと行ってしまった。

私は思わず、駆け寄った。
とてもじゃないけど、ほっとけなかった。
「あの!手伝います!」
「え?いえ、お客様にそんなこと……」
「大丈夫ですよ。失敗は誰にでもあるんだし…」
ニコッと笑って、片付けを手伝う。
「はい///ありがとうございます」

よし!片付いたかな?
「これで大丈夫ですね?」
「あ、はい。本当にありがとうございました!お客様にこのようなこと…」
「いえ、大丈夫ですよ。でもよかった。お怪我とかなくて。では私はこれで…」
一徹のいる部屋に戻ろうとすると、まだ酔いが醒めてないせいか、ふらついた。

「きゃっ!」
「…っと、危ない!」
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