堕天使、恋に落ちる
「大丈夫ですか?」
「あ、はい。すみません。ちょっと酔ってて……。
あの…もう大丈夫ですので……」
「………」
なぜかジッと見つめられて、手を離してくれない。
「手を……」
「……あの、もしよければ―――」

「由那!!」
「え?一徹…」
「おいで?由那」
「うん」
そこで手を離され、一徹の元に駆け寄った。
少し足がふらついて、それを一徹が受け止めてくれた。
「由那?何してた?」
「え?何って…片付けを手伝ってたの」
「片付け?君、この子に片付けさせたの?」
命さんが、びっくりして言った。
「あ、いえ。それは―――」
「違うんです、命さん!たまたまここで従業員さん同士でぶつかって、それでお手伝いしただけなんです」
「だからって、なんで由那がそんなことするんだ?」
一徹と命さんはかなり怒ってる。
「だってほっとけなかったし……」

「とにかく、部屋戻るぞ!」
「え?一徹…?うん…」
一徹に少し強めに引っ張られ、部屋に戻った。


「君、女将呼んで?奥の松の間に!」
「え?は、はい!」
「わかってると思うけど、君ヤバいよ!まぁ、天使ちゃんが自主的に手伝ったんだと思うから、俺もできる限りフォローしてあげるけど……
ついさっきのことは、俺もちょっとムカついたかな…?」
「え…?」
「まさかとは思うけど、惚れてないよね?」
「え?いえ…」
「だったらいいけど……とにかく呼んで!女将」
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