堕天使、恋に落ちる
「え?手を出したって……」
「天使ちゃんもわかってるよね?あの従業員、下心あったって!」
「え…」
確かに手をなかなか離してくれなかったし、何か言いかけてたけど……
「由那。毎日言ってるよな?由那は誰のモノ?」
「一徹だよ…」
「だよね?だからね…たかが手を握る。これだけでも赦されないんだよ……」
一徹の綺麗な目が、黒く濁ったような気がした。


「失礼いたします、女将の原田です」
「どうぞー」
「失礼いたします。神石様、この度はこちらの従業員がお連れ様に大変ご迷惑おかけしまして、申し訳ありませんでした」
「ううん。ただ理由が理由だからね。ただ問題があってね…!」
「え?神石様、問題とは?何か他にご迷惑を……」

「おい!お前!」
「は、はい!」
「正直に言え!由那に下心あったよな?」
「いえ…そのようなこと……ただ!」
「ただ?」
「綺麗な人だとは……」

「今回は由那の手前、目を瞑る。
でも次はない!
この意味、わかるよな?」
「はい、わかりました」

「まぁ、そうゆうことだから!よろしくー」

女将さんと従業員さんが、出ていく。
「一徹、命さんごめんなさい。私がふらついたりしたから……」
「天使ちゃんは悪くないよ……」
「あぁ、由那の性格上ほっとけなかったのは、わかるから。ただやっぱトイレ連れていくべきだった」
そう言って一徹が、頭を撫でてくれた。
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