贖罪


「あくまでも俺の予測ですが、犯人は複数。というよりはそれぞれの被害者を殺害した犯人が違う」





「つまり?」






「つまり、犯人はそれぞれの被害者家族です。あくまでも俺の予測ですが」






一颯が説明を終えた頃に、ちょうど椎名と赤星が聴取から戻った。
しん、と静まった室内。
それに椎名と赤星は「何だ?」と眉間にシワを寄せる。
次の瞬間、汐里が椎名と赤星の方を見たので、二人はびくりと肩を揺らす。





「クソ、やられた!私としたことがその点を完全に見落としてた」





「なになに、何があったの?」






「京、顔が怖い」





汐里は苛立ちながらドカリと椅子に座ると、一颯の方を見て戻ってきた椎名と赤星に再度説明するように促す。
一颯は「あくまでも」を前置きして、二人に説明した。
説明を終えれば、二人も汐里と同じ反応を取る。





「完全に見落としてた……」





「この話が本当なら聴取って無駄じゃん。でもさ、証拠ないから何とも言えないよなー」






「それなんですよね。強欲の仕業ではないかもしれないと言いつつも、七つの大罪との繋がりも完全にシロとも言えない」






一颯達は再び頭を抱える。
聴取をやり直し、捜査の方向を変えねばならない。
そうなれば、再び一から捜査し直しだ。
すると、ドアがノックされる。
そこには受付の警官がいて、手には小さな小包が持たれていた。





「お話し中にすみません。浅川刑事宛に小包が届いてまして……」





「自分に?ありがとうございます」






一颯は警官から小包を受け取り、差出人を見た。
だが、差出人のところには名前がない。
怪しく思いながらも一颯は小包を開けた。
中には一通の手紙とSDカードが入っていた。
手紙を見れば、差出人が明らかになる。






「差出人、誰か分かったか?」





「それが≪神室志童≫と……」






一颯の言葉に、汐里が手紙を奪い取る。
手早く内容を読み、瀬戸の方を見た。






「瀬戸、PC!」





「は、はい!」






瀬戸はPCを用意するなり、一颯からSDカードを受け取って読み込んだ。
SDカードの内容はすぐに画面に映し出されて、一颯達の動揺は必須だった。
神室が送ってきたSDカードには四件の殺人事件+柊華の殺人の様子が映し出されていた。
それらは恐らく犯人が撮ったと思われ、被害者が怯え、殺害される様子が全て残されていた。






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