お日さまみたいな温かい君に包まれて
「奨学金は返せるか心配だし、特待生になって免除は優秀な人じゃないと受からないし……」

「えっ、雪塚さん頭いいじゃん! 受かると思うよ?」

「そうは言っても、定員があるから……。西尾くんみたいにオール5ならいけるかもしれないけど、私はそこまで頭良くないもん」



おいおいおい、雪塚さんだって評定5、何個ももらってんじゃん。

俺なんか、5は中学から今までで体育でしかもらったことねーぞ……⁉


……まぁでも、人気校なら、その分競争率も高いから難しいのかも。



「清水くんもう決めてるの?」

「うん、一応。バイト先から、卒業したらうちで働かないか? って言われてさ」

「あ、冬休みから始めたところだっけ。すごいね! おめでとう!」



東馬に続き、また祝ってもらった。

しかし、嬉しい気持ちと同時に、再び申し訳ない気持ちが込み上げてきた。


雪塚さんはこんなにも悩んでいるというのに、対して俺は……。



「ありがとう。なんかごめんね。悩んでるのに何も力になれなくて」

「ううん、話聞いてくれただけでもちょっと楽になれたから。ありがとう」



眉尻を下げて優しい笑みを浮かべた雪塚さん。

あぁ、その笑顔で胸につかえていた罪悪感がスーッと消えていくよ……。

いつか、「好きだよ」って伝えたい。
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