お日さまみたいな温かい君に包まれて


雨足が弱まり、先週と同様、雪塚さんと途中まで帰ることに。



「今日も歩いてきたの?」

「うん。雨ガッパを脱ぎ着するのが面倒で。梅雨の時期は徒歩通学にしてるの」



灰色の傘から見えた顔と目を合わせる。

いつもは華奢な傘だけど、今日はやけにゴツい傘を差している。


風が強くて骨が折れちゃったから、弟くんの古い傘を借りたらしい。



「……あの、実玖から、最近絵の調子があまり良くないって聞いたんだけど……最近はどう?」



先週、実玖が相談してきたのをふと思い出して、思い切って尋ねてみた。

あれから丸1週間以上経ったけど……描けるようになったのかな。



「勝手に聞いちゃってごめん! 俺も昔、部活で調子出なくて苦しんだことがあったから……」

「ううん。もしかして、最近色々良くしてくれてたのって、そのこと聞いたから?」

「……うん」



恥ずかしくなり、傘で顔を隠す。


おかず交換の時も、クッキー作ってきた時も、めっちゃはしゃいでてニヤニヤしてた。

それに俺の恋心、クラスメイト達も家族も知っている。


作戦もバレちゃったし……これもう、雪塚さんにも俺の気持ちバレてるんじゃないか……?
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