お日さまみたいな温かい君に包まれて
「ありがとう。まだ絵はあまり描けてないけど、最近は塗り絵を楽しんでるよ」

「ぬ、塗り絵……?」

「うん。今まで描いた絵に色を塗ってるの」



傘を傾けて恐る恐る顔を出すと、弓なりに細まった目と視線がぶつかり、トクンと胸が高鳴った。


今、顔真っ赤だと思う。
雨で手は冷たいのに、顔だけが火照るように熱いから。


照れた顔も、ドキドキして言葉がぎこちなくなるところも、全部見られている。


好きになって、もう2年近くもこんな姿を見せ続けてきたんだ。

さすがに、好意持たれてるなって気づくはずだよ。



「清水くんのおかげで、また絵を楽しめるようになったよ。本当にありがとう」

「そ……それなら良かった」



だとしたら……雪塚さんはどんな気持ちなんだろう。


今みたいに笑顔を見せてくれているから、好意に対して嫌悪感を抱いているわけではなさそうだけど……。

でも、友情を壊したくなくて、気づかない振りをしている可能性もあるよな……。



「じゃ、また明日」

「うん。またね」



彼女と別れて帰路に就く。

雨が降っていて、視界がぼやけていただけだったかな。


別れ際、彼女の瞳の奥が少し揺れていたように見えたのは、多分気のせい。
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