お日さまみたいな温かい君に包まれて
面談の順番は知っていたけど、考えないようにしていた。

だって、好きな人のことを考えると、体温がボンッて上がるから。

冷房がないこの空間で体温を上げてしまったら、熱中症の危険度も上がっちゃうから気をつけていた。


なのにお母さんめ……わざわざ耳打ちしやがって。

絶対わかっててやってるな。顔に全部書いてある。
もう、本当お調子者なんだから。


クスクス笑う母を軽く睨み付け、顔に扇風機を向けて、脳内に浮かんでいる雪塚さんの顔を風で吹き飛ばす。


すると。




「勝手に決めないでよ‼」



突然教室から怒鳴り声が聞こえてきて、体がビクッと揺れた。

今までに聞いたことがない声色に一気に緊張が走る。


い、今のは雪塚さんの声……? それともお母さんの声?
親子でケンカ? それか先生と?


ドキドキしながら教室を見つめていると、ドアの窓に人影が見えた。



「あっ、こんにちは」

「こ……こんにちはっ」



中から出てきたのは、うちのお母さんと同い年ぐらいの女の人。
恐らく、雪塚さんのお母さんだ。

扇風機を止めて立ち上がり、ペコッと頭を下げた。
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