お日さまみたいな温かい君に包まれて
ずずーっとティッシュで鼻をすする。

目は充血し、袖は涙を拭ってびちょびちょ。


まさか初めて読んだ小説でこんなに泣くとは思わなかった。



「そ、そんなに感動したの……?」

「っ……ううっ……」



返事もできないくらいボロボロ泣く俺の姿に、若干引き気味の様子。


この話は、お互いに長年片想いをしている男の子と女の子が主人公。

友達以上恋人未満という、ちょっぴり焦れったい関係のまま、いつもの学校生活を過ごしていた。


しかし、男の子が親の仕事で引っ越すことになり、「このまま片想いで終わるのは嫌だ!」と、女の子は最後の思い出を作ろうと、夏休みに男の子に猛アタックする。

そして最後は、表紙にもなっている海で告白するという話。


ありふれた話かもしれないけど、この女の子が健気過ぎて健気過ぎて……。


時々、鈍感な男の子に、「気づけよコノヤロー!」とツッコんだり、「邪魔するんじゃねーよー!」とライバルの子に向かって怒鳴ったりした。


主人公の女の子の気持ちの描写がすごく繊細で。

自分も片想いをしているからこそ、胸が高鳴ったり、ギュッと絞めつけられるというか。


つまり、片想いの経験がある人なら、心打たれるだろうなぁってこと。
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