お日さまみたいな温かい君に包まれて
この眼差しは以前にも見たことがあった。

雷雨の日と、今日みたいに家まで送った日と……。



『みんなにはって……ふざけんな! なんで黙ってたんだよ!』

『お前に言う必要はないなって思ったから。じゃあな、副部長。頑張れよ』



どうしてこんなに胸が苦しいんだろうって思ったら、数年前の小山と同じ目をしているからなんだ。


切なくて、寂しくて、苦しくて、悲しくて……自分は除け者で、いらない存在なんだって。

瞳の奥に、孤独感が渦巻いていたからだったんだ。



「……ありがとう」



顔を上げて、潤んだ瞳で笑った彼女に心の中で問いかける。


ねぇ雪塚さん、今どんな気持ちで俺を見ているの?


苦しいのなら、1人で抱え込まないで、我慢しないで、全部吐き出してほしい。

これ以上雪塚さんが苦しむ姿は見たくないよ。


……と、視線で訴えても届くことはなく……。


小山はもう乗り越えたから話してくれたけど、雪塚さんは現在進行形で悩んでいる。


できることなら助けたい。
けど、どう声をかけたらいいのかがわからない。

話してほしいからといって、むやみに迫ると(かたく)なに拒否されそうだし……。
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