お日さまみたいな温かい君に包まれて


──ガチャッ。



静かな家の中に、ドアが開く音が響いた。

……誰か帰ってきた?
ふぅ、良かった。これで安心して帰れる。



「誰か帰ってきたみたいだし、そろそろ帰るよ」

「うん……ありがとう」



名残惜しいけど、もう夕方だし。
他の家族も帰ってくるだろうから、おいとましないと。

今月末に花火大会あるし、その時にたくさん話せばいいか。


ただ、今のところ天気予報があまり良くないんだよなー。しかも台風発生しちゃったし。

雨だと延期になるけど、バイトをしてるから急な予定変更はできない。

てるてる坊主を作って空に願おう。



雪塚さんに別れを告げて部屋を後にし、階段へ向かっていると、誰かが2階に上がってくる足音が聞こえてきた。



「あっ……こんにちは」

「こんにちは……お邪魔してます」



サラサラの髪の毛に黒ぶち眼鏡とシャツ。
雪塚さんと同じく、優等生の雰囲気が漂っている。

もしや、弟くんかな……?



「葵さんと同じクラスの清水景斗です。葵さんの体調が悪そうだったので、ちょっとお邪魔してました。弟さんですか……?」

「はい。雪塚爽汰(そうた)です。姉がお世話になりました」
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