お日さまみたいな温かい君に包まれて
ペコリと律儀にお辞儀をした彼。


お堅い印象が姉弟そっくり。

昔一緒にゲームしてたって言ってたから、弟くんも意外とノリが良かったりするのかな。



「清水さんは、姉の彼氏ですか?」

「ええっ⁉ いえ違います! 友達です!」



唐突な質問に声を張り上げてしまった。

あちゃー……今の聞こえちゃったよな。
今月末に告白する予定なのに、否定しちゃった。


視線を移すと、弟くんはプルプルと肩を震わせて笑っている。

あぁ、これはもうバレたな。確実にバレたな。
とうとう家族にまで……。



「そうなんですか? 姉のこと、よろしくお願いしますね」

「えっ、は、はいっ。じゃあ俺はこの辺で。お邪魔しました」



まだ少し口元をニヤつかせている彼に挨拶をして、小走りで階段を駆け下りた。

逃げるように外に出て家を見上げる。


……本当、姉弟そっくりだった。

目が合うまでの数秒間、ほんの一瞬。
彼の目の色が、雪塚さんと同じだった。


勉強で疲れてる可能性もあるかもしれないけど、無機質で冷たくて…………生気がない瞳だった。


幽霊の仕業なんかじゃない。

この家には、温もりが全くないんだ……。
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