お日さまみたいな温かい君に包まれて
8 遮られた言葉
◎◎○



「ありゃ、それは残念だったね」

「ドンマイ清水~」



8月上旬。
松尾さんと竹村先輩と共に勤務先のレストランへ足を運ぶ。

今日は朝からテンション低め。


なぜかというと、昨日の花火大会が台風のせいで延期になってしまったのだ。


天気が回復したから今夜行われるみたいだけど……自分は夜までバイトで、雪塚さんはオープンキャンパスに行くとのこと。

なので結局デートは中止になった。


毎日てるてる坊主作ったのに。

家の掃除もしまくって、窓をピカピカに磨いて、本棚の上とか冷蔵庫の上とか、ホコリも全部取って綺麗にしたのに。

なんなら皿洗いも、ご飯の準備のお手伝いもしたのに。


日頃の行いを良くしても、やっぱり自然の力には抗えなかった。

くそぉー! 花火が終わった後の帰り道で告白する予定だったのにー!



「着付けの練習、何回もしたのにな……」

「まぁまぁ、そんなに気を落とすなって! まだ夏休みはあるんだから!」



肩をポンポンと叩いて慰める竹村先輩。

確かにあと1ヶ月あるけど、今月はバイトが多い上に、雪塚さんも勉強や学校見学で忙しい。

登校日が2回あるから、その日を狙って声をかけるか。
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