お日さまみたいな温かい君に包まれて


気持ちを切り替えて仕事に励み、ミスすることなく無事に勤務が終わった。

しかし、まかないのご飯がのどを通らなくて、今回初めておかわりをスルーしてしまった。


数ヶ月前から練っていた計画が崩れただけで食欲減退するなんて……。
俺、こんなにガラスのメンタルだったっけ。

残さなかったからまだ良かったけど、これから忙しくなってくるから、減ったままだと体力が持たない。食欲よ、早く戻ってくれ。



「清水くん、ちょっといい?」

「はい?」



退勤後、バス停に向かっていると、松尾さんに声をかけられた。

真面目な雰囲気に似て、私服も落ち着いた色味をまとっている。


大人の色気が漂っててかっこいいなぁ。
でも……なんでそんなにキョロキョロしてるんだろう?



「何ですか?」

「これ、ちょっと早い内定祝い」

「えっ! ありがとうございます!」



人気のないところに連れていかれ、こっそりと白い封筒を渡された。

「開けてみて」と言われ、ウキウキで開封。


すると……。



「えっ、これ……いいんですか⁉」

「うん。花火大会行けなかった代わりにどうかなって。受験生で忙しいかもしれないけど、気分転換に誘ってみたらどうかな?」
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