お日さまみたいな温かい君に包まれて
「なら……さ、花火大会、一緒に行かない?」
「えっ?」
ダメ元で思い切ってデートに誘ってみた。
この流れからすると、半分告白しているようなもの。
一昨日、いつか気持ちを伝えたいって思ってたけど……1年生も2年生も、「いつか伝えたいな」って思ってたら、あっという間に終わってしまった。
3年生は忙しいし、1年2年の時よりも早く時間が過ぎるはず。
このままダラダラ引き延ばして、結局勇気が持てないまま卒業してしまったら……絶対後悔すると思う。
小説の女の子みたいに、腹をくくるぞと決心したのだ。
「忙しいのはわかってるんだけど、高校最後の夏休みだから、思い出作りたいなって……」
案の定、雪塚さんは目をまん丸にして固まってしまった。
去年の夏休みも、一応雪塚さんとは思い出は作っている。
一緒に宿題して、ご飯を食べに行った。
だけど、その時東馬と実玖もいたから、2人きりじゃなかったんだよな。
「無理言ってごめんね。先約があるんなら断っていいから」
「いや、全然っ! 無理、じゃない、から……」
途切れ途切れに話す彼女の顔が、なぜか真っ赤になっている。