お日さまみたいな温かい君に包まれて



「なら……さ、花火大会、一緒に行かない?」

「えっ?」



ダメ元で思い切ってデートに誘ってみた。

この流れからすると、半分告白しているようなもの。


一昨日、いつか気持ちを伝えたいって思ってたけど……1年生も2年生も、「いつか伝えたいな」って思ってたら、あっという間に終わってしまった。

3年生は忙しいし、1年2年の時よりも早く時間が過ぎるはず。


このままダラダラ引き延ばして、結局勇気が持てないまま卒業してしまったら……絶対後悔すると思う。

小説の女の子みたいに、腹をくくるぞと決心したのだ。



「忙しいのはわかってるんだけど、高校最後の夏休みだから、思い出作りたいなって……」



案の定、雪塚さんは目をまん丸にして固まってしまった。


去年の夏休みも、一応雪塚さんとは思い出は作っている。

一緒に宿題して、ご飯を食べに行った。


だけど、その時東馬と実玖もいたから、2人きりじゃなかったんだよな。



「無理言ってごめんね。先約があるんなら断っていいから」

「いや、全然っ! 無理、じゃない、から……」



途切れ途切れに話す彼女の顔が、なぜか真っ赤になっている。
< 16 / 239 >

この作品をシェア

pagetop