お日さまみたいな温かい君に包まれて
「またお母さんに隠し事するのね。『勉強頑張るから進学させてほしい』ってあれだけ頼み込んできたのに。勉強サボって遊びに行くなんて……」



はー……また始まった。


確かに遊びには行ったけど……受験生は遊ぶの禁止なの?

1日中ずっと勉強してなきゃいけないわけ?

毎日勉強してるんだから、1日くらい気分転換しても良くない?

なんでもかんでも禁止されると逆にやる気なくすんだけど。
メリハリって言葉知らないのかな。

あー、イライラしてきた。



「ちょっと葵! 聞いてるの⁉」

「うるせぇな、何騒いでんだよ」



ブツブツ小言を吐く母を無視して2階へ上がろうとした時、爽汰が眉をひそめてやってきた。

いつの間に帰ってたんだ。



「爽汰……! どこ行ってたの⁉ 受験生でしょ⁉ まさか、あんたもお姉ちゃんみたいに遊びに行ってたわけ⁉」

「ちげぇよ、図書館だよ。つーか、姉ちゃんも一緒だったし。帰り同じバスだったから」



面倒臭そうに爽汰が答えると、母はばつが悪そうな顔で、「なら早く言いなさいよ」と言ってリビングへ戻っていった。

た、助かった……。



「……ありがと」

「別に。お母さん怒らせると面倒だから」
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