お日さまみたいな温かい君に包まれて
○○○



「お疲れ様でした! お先に失礼します!」



午後9時12分。
仕事が終わり、急いで着替えて猛ダッシュでバス停へ向かう。


よし、15分のバスには乗れそうだ。

ここから約25分だから……40分、走れば45分には家に着きそう。



バスに乗り込み、降り口に近い席に座る。

しばらくすると、プシューとドアが閉まり、バスが動き出した。


あ、連絡来てる。



【お仕事お疲れ様で~す! 今、みんなで花火をしていま~す! お兄ちゃんの分も取ってあるから、早く帰ってきてね~!】



実玖から来たメッセージの下には、庭で花火を楽しむ両親の写真と、緑色の光を放っている吹き出し花火の写真が映っていた。


くそぉ、俺が帰ってくる前にみんなで楽しみやがって。

写真には写ってないけど、雪塚さんもいるのかな。



「ん……?」



両親の後ろに見覚えのある物が見え、気になって拡大。

すると、窓際のベンチに花火のパッケージが置かれていた。


これ……俺が買った花火じゃねーか!

実玖め!
なにが「お兄ちゃんの分も取ってあるから」だ!
俺が買ったんだぞ⁉

あー、もう語尾が煽っているようにしか見えなくなってきた。
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