お日さまみたいな温かい君に包まれて
よし、行くか! とドアを開けた瞬間。



「うわぁ! ビックリしたぁ!」

「ご、ごめん……」



おいおい待ってくれよ、なんで雪塚さんがここにいるんだよ。


先程は暗くてわかりづらかったけど、彼女は紺色の浴衣を着ており、帯の色と同じピンク色の大きめの花飾りを頭につけていた。

ちなみに自分は黒に近いグレーの浴衣。


色はお互い地味なのに……花飾りつけてるからかな。

清楚で品があって、その中に凛とした雰囲気があって。大和撫子って言葉がすごく似合う。



「その……実玖ちゃんが、お兄ちゃん呼んできてって」

「あぁ……そう」



ヤバい、心臓がバクバク暴れ出して目合わせらんねぇ。

せっかく迎えに来てくれたのに。感じ悪い上に失礼だよな。

だけど……今目を合わせたら、心臓だけじゃなくて、心も体も暴れ出しちゃいそう。


だって、好きな人が、こんな可愛くて美しい浴衣姿を間近で見せてきてるんだよ?

しかも今、2人きり。じっとできる自信なんかないって。



「あの……一緒に写真撮ってくれないかな」

「えっ?」
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