お日さまみたいな温かい君に包まれて
完全に実玖が仕込んだのかと思ってたら、まさか雪塚さんだったとは。

ってか実玖も浴衣着てたんだな。今気づいた。



「黙っててごめんね。せっかく浴衣買ったのに、出番がないのは寂しいだろうなって思って」

「ううん、色々考えてくれてありがとう」



雪塚さんの優しさに胸がキュンとときめいた。

この日のために、わざわざ浴衣を持ってきてくれたわけだよな?


ご飯食べた後、実玖とおしゃべりしたり、ゆっくりお風呂に入りたいはずなのに、俺が帰ってくる時間に合わせて準備してくれて……。

あぁもう、ますます好きになっちゃうじゃん。



「あ、今日しゃぶしゃぶだったんだよな? 雪塚さん、お肉は食べられた? 遠慮してちょっとしか食べてないとかはない⁉」

「大丈夫だよお兄ちゃん。ちゃんと食べてたよ。ね! 先輩!」

「うん。むしろ量が多かったから、満腹になるくらい食べたよ」



俺の必死な顔を見てケラケラ笑う2人。


お腹いっぱいになるほど食べたって……お母さん、一体どれだけの量を出したんだろう。

お肉代だけでもけっこうお金かかったんじゃない?

節約家な雪塚さんが知ったら言葉を失うだろう。


でも、値段知ってたらもっと遠慮してただろうし、満腹になったんなら良かった。
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