お日さまみたいな温かい君に包まれて
なにぃ⁉ 電話だって⁉

なんだよ、先に戻ったんなら言えよ!
雪塚さんに心配かけんな! リア充め!



「後片づけよろしくね。葵ちゃん、あとちょっとだけど楽しんでね」

「はい、ありがとうございます」

「へいへい了解です」



母に返事をし、線香花火を袋から取り出す。

全部やろうかなと思ったけど、一応家族の分も残しておくことにした。


時間も少ないし、2本にするか。



「ごめんね。せっかく遊びに来たのに」

「ううん、実玖ちゃんとはさっき話せたし、電話が終わった後でも話せるから気にしないで」



彼女に花火を渡し、先端にろうそくで火をつける。

しばらくすると、小さな火の玉が現れ、バチバチと火花が飛び始めた。



「おっ、きたきた」

「あ、私も。綺麗だね~」



オレンジ色の光に照らされる雪塚さんの横顔。


笑顔なんだけど、少し切ないような、寂しいような。

線香花火の儚さが、より彼女の美しさを引き立たせていて視線が離せない。

またドキドキしてきた……。
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