お日さまみたいな温かい君に包まれて
「雪塚さん」
「ん?」
「好き」
まだこの時間が終わってほしくなくて。
もう少しだけ一緒にいたいって。
そう心の中で強く叫んでいたら、自然と口が動いていて。
「俺、雪塚さんが好きだよ」
視線を合わせ、もう1度伝えた。
けれど──。
「っ……あっ……」
口にした途端に後悔が押し寄せてきた。
月の光に照らされた彼女の顔は、どこか悲しげで、切なくて。
揺らぐ瞳の奥には苦しみが渦巻いていた。
『……どこにも行かないよ。俺、ここにいるから。そばにいるから』
『……ありがとう』
この目の色は、雪塚さんの家で手を重ねた時と同じ……。
違う、そんな悲しい顔にさせたかったわけじゃない。
俺はただ──あの時言えなかった気持ちを伝えたかっただけで……。
「っ……ごめん! 今のは……忘れて」
気づいたら火の玉は消えていて、2人の間には白い煙だけが静かに舞っていた。