お日さまみたいな温かい君に包まれて
駐車場に自転車を停め、こっそり家の中へ。


まだ1時半だけど、午前中までって言ってたから、また文句言われるかな……。


でも、持っていった宿題は今朝全部終わらせたし。
「勉強してて遅くなった」って言えば誤魔化せるか。


足音を立てないようにそっと洗面所へ向かう。

すると──。



「毎回毎回うんざりなんだよ‼ これ以上巻き込むな‼」



リビングのほうから、ガシャーン! と何かが割れる音と共に、怒鳴り声が聞こえてきた。

この声は爽汰だ……。
まさか、コップかお皿を投げたの……?



「お前、お姉ちゃんみたいに人生失敗してもいいのか‼」

「うるせぇ‼ 一緒にすんな‼」

「爽汰‼ 待ちなさい‼」



壁に耳を当てて様子をうかがっていると、バンッとドアが開いた。



「……チッ」



目が合った瞬間、舌打ちして去っていった爽汰。
その瞳は怒りと苦しみに満ち溢れていて──少し充血していた。


どうしよう、この中にお父さんとお母さんが……。

早くここから逃げないと。




「あら、帰ってたの」
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