お日さまみたいな温かい君に包まれて
ドアが開き、抑揚のない冷めきった声が廊下に響いた。



「葵、ちょっと来なさい」

「……」



この中に入ったらいけないと直感が働き、絶対行くもんかと一歩も動かず抵抗する。

逃げたい気持ちはあるんだけど、足がすくんで動けないんだ。



「来なさいって言ってるでしょ!」

「いっ……」



しかし、反抗的な態度が気に食わなかったようで、腕を引っ張られてリビングへ引きずりこまれた。


何、これ……っ。


足を踏み入れた途端、視界に入ってきたのは、床一面に散らばっているガラスの破片。


それだけじゃない。


テーブルに置いてあったはずの観葉植物が倒れていて、ガラスの破片と一緒に土までが床にこぼれている。

ダイニングテーブルの椅子もひっくり返ってる……。


全部爽汰がやったのかはわからないけど、これはあまりにも酷い。



「そこに座りなさい」



何も飛び散っていない場所に座るよう促され、荷物を下ろして正座した。

斜め前には、無言でソファーに座る父の姿が。
目つきがお母さんと同じだ。



「葵ちゃん、またお母さんに嘘ついたのね。本当は図書館じゃなくて、遊園地に遊びに行ってたんでしょう?」
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