お日さまみたいな温かい君に包まれて
家族仲がこじれたのは、私が中学3年生の時。
それまではみんなで遊びに行ったり、ご飯を食べに行ったりしていた。
ケンカも多かったけど、今よりも笑顔は多かったと思う。
元々両親からは、『いい学校に行って、いい仕事に……』と口酸っぱく言われてて。
少々不満はあったものの、夢のためならと、親の言う通り毎日勉強に励んだ。
その成果もあり、成績は毎回上位をキープ。
褒められることはなかったけど、「少しずつ夢に近づいているんだ」って思ってたから、そこまで気にならなかった。
しかし、不登校になり成績は急落。
親が希望する進学校に行けなくなってしまい、両親から失望された。
その後、滑り止め用だった今の学校に入ったけれど……私に向けられていた期待が全て爽汰へ向いたのだ。
隣の部屋から聞こえてきた、お父さんの怒鳴り声と爽汰の泣く声。
苦しくて申し訳なくて、今も思い出すと胸が痛い。
以来、爽汰とも会話が減った。
仕方ない、私のせいで地獄の日々に変わってしまったんだから。
お父さんと同じように、口に出さないだけで本当は私のことを嫌っていると思う。
「……葵、進学は諦めろ」