お日さまみたいな温かい君に包まれて


勉強机から紙とペンを持ってきて母に渡した。



「まず最初に、お母さんも葵ちゃんのお母さんと……佐伯さんと面談の日が一緒で、順番が前後だったの」



なるほど。雪塚さんのお母さんが先に面談中だったわけね。
親子で順番が同じだったとは。すげぇ偶然。



「葵ちゃん、去り際ちょっと様子がおかしかったじゃない? 佐伯さんも、葵ちゃんと同じ様子でね……」



佐伯さんと書かれた棒人間と、葵ちゃんと書かれた棒人間の間に、イコールマークを書いた母。

つまり、雪塚さんのお母さんも雪塚さんみたいに、面談中に親とケンカして大声を上げて、目を赤くして、親に引っ張られながら帰ったってことか。


そういえば……面談が終わった後、神妙な面持ちで質問してきたっけ。


母が言うには、去り際に見た雪塚さんの悲しい顔が頭から離れなくて、なぜだろうとずっと気になっていたらしく。

親が同級生だったと知り、やっと腑に落ちたんだと。

昔の記憶と重なって見えたのか。



「親子揃って進路で悩んでたのか……」

「あら、そうなの?」

「うん。進学することに決まったけど、最初は親に就職を勧められたって言ってた。今は学費免除を受けるために、特待生目指して勉強してるって」
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