お日さまみたいな温かい君に包まれて
「そう……他には何か言ってた? 家族のこと」

「えーっ、何かあったかなぁ」



食い入るように尋ねられ、頭を捻らせる。


家族の話……お母さんが口うるさいってことと、進学先のことでケンカしたくらいだよな。

お父さんの話は聞いたことないし、弟くんとはあまり話さないって言ってたし。


唯一話してくれたのは……。



「先月に1人でおじいちゃんおばあちゃん家に帰省したって聞いた。っていうか、雪塚さんとはあまり家族の話したことないんだよね」



そう答えると、母は一瞬目を丸くし、深刻な表情を浮かべて俯いた。



「ど……どうしたの?」

「葵ちゃん、大丈夫だった? ケガしてなかった?」

「は? してないけど……」



どういうこと?
まさか、おじいちゃんおばあちゃんにケガさせられなかったかって言いたいのか?


まぁ、子どもの腕を引っ張って帰ったのは気が強いなとは思った。

けど、さすがに孫にまで同じことはしないだろ。
目に入れても痛くないって言うし。

そもそも、帰ったのは父親の実家だから関係なくね?



「あぁでも、一時期アザたくさん作ってたな。踊ってストレス発散してたらぶつけちゃったって」

「それ本当⁉」

「う、うん……」
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