お日さまみたいな温かい君に包まれて


「お父さんとお母さんにいじめられてたってこと……⁉」

「多分……親の話になった時、ずっと黙ってたから」



マジかよ、雪塚さんとそっくりじゃねーか。
家族の話の時、ちょっとノリ悪かったし。

でも、お兄さんの話はしたんだよな?
なら、険悪なのは両親だけってこと?




「……ねぇ、まさか雪塚さんも同じってわけじゃないよね?」



悪寒がするほどの共通点の多さに、恐ろしい考えが脳内をよぎった。


自分がされて嫌だったことを子どもにもするなんて理解できない。

だって、苦しみとか痛みとか、誰よりもわかっているはずなのに……正気かよって神経疑う。



「黙ってないで何か言ってよ! 違うよね……? 雪塚さんは違うよね……⁉」



あのアザはただぶつけてできたもので、お母さんやお父さんに殴られてできたものじゃないって。

家族からいじめられてなんかないって。

そう信じたい。



「……わからない。けど、親と仲が良くないのかもしれない。葵ちゃん、昨日も一昨日も泣いてたから」

「え……?」



テレビを観ていたわけでもなければ、悲しい話をしていたわけでもなく。
食事の後、ふたりで話していたら突然泣き出したという。
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