お日さまみたいな温かい君に包まれて



「景斗……? どこ行くの?」

「雪塚さん家。すぐ戻る」



帽子と自転車の鍵を持って階段を駆け下りる。


結婚して義理の姉妹になりたいのかな。
それとも本当の姉妹になりたかったのかな。

友達だけど、俺との結婚は別に嫌じゃないのかな。


色んな考えがよぎったけど、深く考える暇もなく、「今すぐ雪塚さんに会いに行かないと!」と突然頭の中から声が響いてきて、自然と体が動いていた。


急げ……!








「はぁっ、やっと着いた……」



彼女の家に到着。

信号が味方してくれたおかげで、途中で止まることなく真っ直ぐ来ることができた。


帽子を取り、蒸れた頭皮を乾かす。


全速力で漕いできたからTシャツの中も汗だくだ。お腹も背中もジメジメしてる。


駐車場には黒い車が1台。

あれは初めて家に来た時に見た軽自動車……今、お母さんが家にいるのかな。


空いている場所に自転車を置き、服をパタパタしながら、インターホンを鳴らしに玄関へ向かう。
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