お日さまみたいな温かい君に包まれて
──ガチャッ。
「あらっ、こんにちは」
「こっ、こんにちは……」
玄関前の階段で呼吸を整えていると、中から雪塚さんのお母さんが出てきた。
マイバッグを持ってるから、これから買い物に行くみたい。
「葵さんのクラスメイトの……清水です……」
「あぁ! 三者面談の時の! 娘がいつもお世話になっております」
雪塚さんの母親は深々と頭を下げた。
以前の自分なら、礼儀正しいなぁって思っていたけれど、今は……。
厳格で近寄りがたく見えたのは、これまでに数え切れないぐらいの困難を乗り越えてきたからなんだな──と。
「あの……葵さんはいますか……?」
「あー……すみません、今出かけてていないんです」
「そうですか……」
またも己のタイミングの悪さに落胆した。
虫の知らせかと思ったのに……外れだったか?
急いで来たけど、いないんなら仕方ないか……。
と、諦めて帰ろうとしたその時。
「待って! もう少しで帰ってくると思いますから、部屋で待っててください」