お日さまみたいな温かい君に包まれて



薄暗い家の中に、階段を登る自身の足音が響き渡る。


雪塚さんと弟くんは、瞳の輝きがなくなってすごく苦しそうだった。その反面、母親は笑顔だった。


会って2度目の人間を快く受け入れてくれた人に疑いをかけるなんて失礼にも程があるけど、やっぱり何かしているんじゃ……。

父親はどうなんだろう。子ども達が苦しんでいるって気づいてるのかな。



2階に上がり、彼女の部屋の前までやってきた。

留守の間に勝手に部屋に入るのは、いくら友達でもちょっと気が引ける。


でも今、心が押し潰されそうで耐えられない。



「……失礼します」



小さく頭を下げて、そっとドアノブに手をかけて扉を開けた。

中はスッキリ片づいていて、塗り絵が置いてあった机の上には、少し古びたノートが山積みになっている。


前に来た時とあまり変わってはないけれど……。



「なんで……?」



リビングや廊下で感じた、息苦しさや冷めきった空気が全然消えない。

入口だからかなと、奥へ歩を進めたものの、消えることはなく。
むしろ強まっているように感じる。
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