お日さまみたいな温かい君に包まれて



『20××年 8月14日
今日はおじいちゃんとおばあちゃん家に行った。
いとこ達と宿題してたら、「いい学校に行って、いい仕事につくんだよ」っておじいちゃんに言われた。
いい仕事がどんな仕事なのかはわからないけど、しょう来は絵をかく仕事がしたいなぁ』



ノートを変えて、パラパラとページをめくっていく。

絵を描く仕事……小4の頃からだったのか。
だからあんなに本棚が充実してたんだな。


ざっと目を通し、中学生編へ移る。

女子だけじゃなく男子からもいじられたとか、体調が悪かったのにクラスメイトから嫌な顔をされたとか、学校生活での愚痴もあれば。

幼なじみちゃんと遊んだことや、家族で旅行に行ったこと、弟くんとお小遣いを出し合ってゲームソフトを買ったことなど、仲睦まじい内容も書かれていた。


そして……。



『20××年 6月6日
トイレから「葵ちゃんって……」って聞こえてきて、こっそりのぞいたら、友達が陰口を言っていた。
「か弱いアピールマジキモい」「サボってるくせになんで成績いいわけ?」ってボロクソ吐いてた。
ひどい……昨日一緒に帰ったのに……。
もう学校に行きたくない』



観覧車の中で聞いた、不登校になった話がこと細かく書いてあった。
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