お日さまみたいな温かい君に包まれて
大きな音を立てて扉が勢いよく開かれると、そこには息切れしている大好きな人が立っていた。
外れじゃなかった。帰らなくて良かった。
あれだけ子ども達に酷いことをしたけれど、引き留めてくれてありがとうって、連絡してくれてありがとうって言いたい。
涙が頬を伝い、日記帳を置いて彼女の背中に両腕を回した。
「ちょっ、清水く……」
「ねぇ、俺ここにいるって、そばにいるって言ったじゃん。いかないでよ」
3年生になってから少し痩せたとはいえ、こんなに華奢だったっけ。
遊園地の時とあまり変わってなさそうだけど、一回り小さく感じる。
このまま消えてしまうんじゃないかと怖くなり、彼女の後頭部に片手を回して強く抱きしめた。
「……どこにも行かないよ」
「本当? それ全部飲もうとか考えてない?」
彼女の手に握られているビニール袋に視線を落とす。
中には、青い箱に月のマークが印刷された薬が入っていた。
「お願い……正直に答えて……」
「……最初はそう思ってた。でも……お母さんから清水くんが家に来てるって連絡が来て……我に返った。だからどこにも行かないよ」
胸元で小さな声が聞こえた後、腰に腕が回されて、再び涙が溢れ出す。