お日さまみたいな温かい君に包まれて
葵side



●●◎



「おーい、まだー?」

「ちょっと待って!」



9月3日。午前7時20分。
只今、洗面所の鏡の前でうねった髪の毛と格闘中。

ドアの向こうで、爽汰が不機嫌丸出しの声で呼んでいる。


あと10分で景斗くんが迎えにくるというのに、全然まとまらない。


ドライヤーとブラシを使うも、うねりは完全には取れず……。


はぁ……早朝から雨はザーザー降りで、その上目覚まし時計かけ忘れて20分寝坊して。
おまけに髪の毛はうねうね。

誕生日なのに朝から何やってんだか。



「早くしろ、もう景斗さん来てるぞ」

「ええっ⁉」



ドライヤーの音に紛れて爽汰の急かす声が聞こえた。

嘘! もう来たの⁉ 早くない⁉


ストレートヘアにするのを諦めて、髪の毛を三つ編みにしていく。

すると。



「今景斗さんに、『姉ちゃんは今、ダーリンのために爆発した頭と格闘しています』って言っといた。
外けっこう雨降ってるから、あんまり待たせんなよ」

「はぁ⁉」



爆発⁉ ダーリン⁉
爽汰め……景斗くんになんてことを……!
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