お日さまみたいな温かい君に包まれて
「前に、強風で傘折れたって言ってたからどうかなって」

「ありがとう……!」



「開けてみて!」と言われ、早速開封。
中から水色の無地の傘が出てきた。

階段を下りて広げてみると、裾に太陽のマークがちょこんと小さく入っている。


あ……これもしかして。



「俺のと色違いなんだ。ほらっ、ここにあるでしょ?」



雨空の下、パステルオレンジの傘をくるくる回した景斗くん。

無邪気に笑う姿に、なぜか目頭がじわりと熱くなった。



「どうしたの⁉ もしかして嫌だった⁉」

「違うよ、嬉しくて……」



私のために考えてくれて、お揃いだから泣いている。

というより……多分、このマークが入った傘を選んでくれたことが嬉しくて涙が出てきたのかもしれない。



「……雪塚さんって泣き虫?」

「……清水くんほどじゃないよ」



涙を拭う手が優しくて、また君の温かさに包まれた。


曇りの日、雨の日、風の日、雪の日。

離れていても、姿が見えなくてもそばにいるよ。


そんな意味が込められている気がして、また嬉しくなって、傘の取手をギュッと両手で握りしめた。



END
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