お日さまみたいな温かい君に包まれて
無防備な表情に胸がトクンと高鳴る。


新学期だから、ドキドキして眠れなかったのかな。
それか、夜遅くまで本読んでたのかな。


再び見惚れていると、「挨拶して雪塚さんの眠気を覚ましてこいっ」と東馬に背中を叩かれた。

深呼吸をして高鳴る胸を落ち着かせ、彼女の席へ。



「ゆ、雪塚さん、おはよう」

「あっ、おはよう清水くん」



目尻に涙を浮かべて、満面の笑みで挨拶してくれた雪塚さん。


まっ、眩しい……!
新学期初日に、こんなに可愛い笑顔を見せてくれるなんて……!

はぁ……もうこれだけで1学期頑張れそうだ。



「それ、小説?」

「うん。恋愛小説だよ。実玖ちゃんにオススメされたんだ」



実玖と雪塚さんは美術部に所属していて、とても仲が良く、実玖の部屋によく遊びに来ている。

帰宅した時に何度か鉢合わせたことがあったくらい。


俺のほうが付き合い長いのに、後から知り合った実玖とすぐ仲良くなっちゃったんだよな。

女子同士ってのもあると思うけど……なんか悔しい。



「へぇ、雪塚さんも恋愛小説読むんだ」

「昔からけっこう読むよ。この本は、お互いに片想いしてる男の子と女の子が夏休みに急接近するお話なの。ザ・青春! って感じですごく面白いよ」
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