お日さまみたいな温かい君に包まれて
まだ少し不安が残る彼女の瞳を真っ直ぐ見て言い放った。


痛みが引いたとしても、体には負担がかかっているはず。

もしも、またアザができた時に、打ち所が悪くて酷い痛みに襲われてしまったら、勉強に支障が出る恐れがある。


それに、腕や手首を痛めてしまったら、部活動もできない。
好きなことができなくなるのは辛いからな。



「あと、何か悩み事があったら相談に乗るから!」

「ありがとう。心配かけてごめんね。気をつけるね」



笑顔が戻り、一安心。

胸を撫で下ろしたその時、ザァァッと降る雨の音に気づき、急いでカーテンを開けて窓の外を見た。



「うわっ、さっきより強くなってる!」



窓ガラスは大量の雨粒で濡れていて、先程見た灰色の雲は、より濃く、厚く、不気味な色になっていた。

ひぃー! 怖っ! 雷落ちてきそう!



「清水くん、傘持ってきてる?」

「いや……あ、そうだ、実玖に持ってきてもらうよう電話しよう」

「おいこら! 実玖ちゃんを召し使いにするな!」



バッグからスマホを取り出すと、東馬が勢いよくドアを開けて教室に入ってきた。



「ビックリしたぁ、随分長電話だったな」

「お取り込み中のようだったから廊下で待ってたんだよ。俺が家まで送るから、実玖ちゃんは呼ぶな!」
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