お日さまみたいな温かい君に包まれて
プンプン腹を立てて荷物を片づけ始めた東馬。

別に召し使い扱いしてるわけじゃないんだけど……。


本当に実玖のことが好きなんだな。
まぁ、兄の立場からしてみたらありがたいけども。



「ったく! こんな雨の中、可愛い妹を出歩かせるなんて!」

「……悪かったよ」



俺のことを陰で、「過保護で俺様なシスコン兄貴」と呼んでいるらしい。

けど……東馬もなかなかの過保護だと思う。



勉強会を切り上げて、東馬の傘に入れてもらい、帰路に就く。

身長差が10センチ以上あるため、現在自分が傘を持っている状態。


東馬が風邪を引いてしまうと実玖にこっぴどく怒られそうなので、雨が当たらないように傘を傾けながら歩く。



「長電話してなかったんなら、俺達の会話聞いてたの?」

「うん。……雪塚さん、何度もアザ作ってたんだな」



隣の席で一緒に勉強していたけれど、彼女の異変に全く気づかなかった様子。

近くにいた東馬でさえも気づかなかったのなら、今までずっと隠してたってことだよな。



「なぁ、最近雪塚さん、顔色があまり良くない気がするんだけど……何か変わったことなかった?」
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