お日さまみたいな温かい君に包まれて
「えー、今年も数学と現代文のトップは西尾くんですね」

「えへへ、ありがとうございます!」



右隣をチラッと見ると、西尾くんは口角をこれでもかってくらい上げてニコニコしている。

中学時代から、毎年学年首位を維持するためにコツコツ勉強しているんだって。


部活もあるのに、本当すごい。
きっと、計画性があって、時間の使い方が上手いんだろうな。

私も西尾くんを見習って、次の期末テストに向けて早めに計画を立てよう!



冷たい雨に打たれながら、いつもより少し時間をかけて帰宅。

家に誰もいないのを確認し、雨ガッパを片づけ、部屋に荷物を置いた後、制服のままキッチンへ。


冷蔵庫から卵、棚からインスタントラーメンを取り出し、麺を茹でる。

数分後、できあがったラーメンに生卵を入れて完成。


アツアツの麺をフーフー冷ましながら、口の中に詰め込んでいく。


只今の時間、午前11時46分。
この時間はまだ買い物中だから帰ってこないはず。

と、安心したその時。



──ガチャッ。



「あら、葵ちゃん、帰ってきてたの?」



母の声が聞こえた瞬間、麺をすくう箸の動きと咀嚼音が止まった。
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