お日さまみたいな温かい君に包まれて
「おかえり。先にご飯食べてたの?
もう、せっかくお弁当買ってきてあげたのに」

「…………」



リビングに入るやいなや、ブツブツ小言を吐き出した母。

……弁当食べたいなんて一言も言ってないんだけど。

っていうか、テスト初日に、『お昼ご飯は自分で食べたいものを作るから、弁当は買ってこなくていい』って言ったはずなのに。



「あ、今日でテスト終わったのよね? どうだった? 手応えはあった?」

「…………まだ全部返ってきてないからわかんない」

「あらそう。返ってきたら全部見せてね」

「……ん」



母に背を向けたまま返事をし、ラーメンを口の中に詰め込む。


返事できないんだから、食べてる時に話しかけないでよ。

そもそも、毎回テスト見せる必要ある? 通知表見せれば充分だよね?


……いい点取っても褒めないくせに。



口うるさい母にモヤモヤしつつ、昼食を済ませ、部屋に戻って出かける準備を始める。

景斗くんと私服で会ったことはあるけど、2人で会うのは初めて。


一応、何を着ていこうか決めていたけど……今日は1日中雨。


新しいワンピースを買ったから着ていきたかったけど……裾が濡れるよね。

景斗くんとの初デートにピッタリだと思ってたからちょっと残念だ。
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