お日さまみたいな温かい君に包まれて


エスカレーターを乗り継ぎ、6階にやって来た。

現在、目の前で景斗くんが「どっちにしようかな~」と鏡の前で服を合わせているところ。


両手に持っているのは、ボタニカル柄の半袖シャツ。色は白と黒。


本当はどっちも買いたいらしいんだけど、これ以上買うとお財布がすっからかんになっちゃうから悩んでいるみたい。



「ねぇ雪塚さん、どっちが似合うかな?」

「え~っ、うーん……白かな。夏っぽいし」

「じゃあこっちにしよーっと」



意見を口にした途端、あっさり決定した彼に拍子抜けした。


えっ、あんなに悩んでたのに。よ、良かったの?

好みを言っただけなんだけど……喜んでるみたいだし。いいのかな?



お会計に行った彼を待っている間、メンズ服売り場を観察することに。

先程目にしたボタニカル柄のシャツを手に取って、鏡の前で当ててみた。


うわぁ……大きい。

半袖なのに、肘に届きそうなくらい袖が長い。もはや五分丈に見える。

下も太ももが隠れて、ミニワンピース状態。


確かこういうの、彼シャツって言うんだっけ。

あざとさと色っぽさが出るらしいけど……私はメリハリのある体型じゃないから、多分どっちも出ないと思う。
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