お日さまみたいな温かい君に包まれて
服を見た後、アクセサリーと雑貨を見て回り、最後にデパ地下へ。

買い物するわけではなくて、単に美味しそうな物を見に行くだけなんだけど……。



「わ~! 美味しそ~!」



小さい子どものように瞳をキラキラさせて、お菓子を試食し始めた彼の後を歩く。

今月が誕生日だから、自分へのプレゼントを探しに来たんだそう。


服かアクセサリーかと思ったら、食べ物なんだね……。



「雪塚さんも食べなよ! これ美味しいよ!」

「う、うん」



バウムクーヘンをオススメされ、一口食べてみた。


……美味しい。
スーパーやコンビニのも美味しかったけど、これは専門店だけあって、風味が桁違いだ。

景斗くんも気に入ったのか、ショーケースをじーっと見つめている。



「プレゼント……それにするの?」

「うん。でも、値段が張るから家族に相談しないと」



視線の先には、特大サイズのバウムクーヘン。
値段は、DVDつきのCDアルバムと同じくらい。

自分へのプレゼントと言ったものの、家族みんなが食べられる物を選びたいんだって。


家族思いの優しい彼に心が温まったのと同時に、恥ずかしい気持ちが湧き上がってきた。


ごめんね景斗くん。

食いしん坊だから、てっきりそれ全部1人で食べるのかなって思ってた。

いくらなんでもそれはないよね。本当にごめんね。
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