お日さまみたいな温かい君に包まれて
「あ、パンできたてだって! 見にいこう!」
「ええっ! ちょ、ちょっと待って……」
パンの匂いにつられて走り出した景斗くんの後を追う。
また試食しに行くの⁉
もうすぐ夕方なのに、晩ご飯入らなくならないのかな……。
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「ん~! 今日はいい買い物した~!」
「よ、良かったね……」
パンが入った袋を抱きしめるように持って、幸せそうに匂いを嗅いでいる。
お土産に家族4人分のパンを購入したそうだ。
またも優しさが見えて心が温まる。
と同時に、今度は少し切ない気持ちが湧き上がってきた。
すごいなぁ。羨ましいなぁ。
家族のことが大好きじゃなきゃ、なかなかこんなことできないよ。
景斗くんの明るくて家族思いで優しいところに惹かれたのに、対して私は……。
「雪塚さんは試食しなくて良かったの?」
「うん。晩ご飯入らなくなりそうだから。清水くんは平気なの?」
「うん。俺食べるの大好きだから」
サラッと口にした彼に思わずフフッと笑みが漏れた。
食いしん坊だって自覚してたんだ。