お日さまみたいな温かい君に包まれて
ライバルでないのは一目瞭然。

だけど……距離が近い。


2人の間にロマンティックな空気は1ミリも流れていない。

むしろ梅田さんは、景斗くんのことを少しうざったそうに見ている。

耳元で話しているため、自然と距離が近くなるのは仕方がない。


仕方ないってわかってるんだけど、やっぱりモヤモヤする……!


もう、景斗くんってば!
知り合いにバッタリ会ったからって、私がいる前で内緒話しないでよ……!


はぁ……彼女でもないのに、やきもち妬くなんて余裕なさ過ぎ。



心が狭い自分に溜め息をついていると、会話を終えたふたりがこっちにやってきた。

なぜだろう。梅田さんの顔が妙にニコニコしているような。



「雪塚さんごめんね。せっかくのデート中にお邪魔しちゃって」

「あっ、いえ……」



彼女に返答した後、チラリと景斗くんの顔を見ると、頬を赤らめて悔しそうに唇を噛んでいる。

あ、あれ? 否定しないの?
もしかして言いくるめられたのかな……。


なんて考えていると、梅田さんに手招きされた。

一体何だろうと恐る恐る耳を傾けると。



「清水くんとお幸せに」



そう耳元で囁いた彼女は、クスッとイタズラっぽく笑っていた。
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